貴重な史料や映像、体験型展示などで幕末維新を知ることができる霊山歴史館。
2018年は明治維新から数えて150年目の節目。NHK大河ドラマでも、明治維新の大立者(おおだてもの)、西郷隆盛をヒーローとした『西郷(せご)どん』が始まります。大河ドラマで人気を博する時代は戦国時代か幕末維新、その中でも主人公の知名度が視聴率を大きく左右するようで、その点、『西郷どん』は大いに期待が持てそうです。その西郷隆盛をはじめとする幕末維新の偉人たちが一堂に会している博物館が、幕末維新ミュージアム霊山(りょうぜん)歴史館です。
霊山は、東山三十六峰の一つ。その山麓には幕末の勤皇の志士たちの霊を祀る京都霊山護国神社があり、霊山歴史館はこの神社と向かい合う形で建っています。護国神社が勤皇派に限定して祀られているのに対して、歴史館では勤皇派、佐幕派双方の史料が展示されています。 「幕末の京都は、日本の政治の中心でした。通り一つ挟んで、勤皇派と佐幕派が睨み合っている。そんな場所が、街の至る所にあった。その双方を公平に扱う博物館は、京都ならではだと思います」と、同館副館長の木村幸比古さん。大河ドラマをはじめ数々のテレビ番組の監修も務める幕末維新研究の大家です。「個人的には、明治の新時代に活躍できず、志半(なか)ばで倒れていった人物に共感します」
歴史館の開設は、1970年。パナソニックの創業者、松下幸之助氏が中心となって関西の財界人に呼びかけ、日本近代の礎になった人々の生き様を伝えるために1968年、霊山顕彰会を立ち上げたのが始まりでした。その頃、木村さんはまだ大学生でしたが、史料収集や展示企画に参加し、1975年からは学芸員として、本格的に研究と博物館の運営に携わってこられました。「歴史に詳しくない方や若い方にもわかりやすい展示を、というのが開館当初からのコンセプトです。模型や映像もふんだんに取り入れて、楽しみながら歴史を学べるように工夫しています」
現在、歴史館の収蔵品は5600点あまり。当初は収集に苦労されたようですが、現在では幕末維新に関する史料が新たに発見されると、京都ばかりでなく全国から歴史館に持ち込まれることも多いとか。激動の時代を生きてこの国の基礎を築いた人々の足音が聞こえるような歴史館。一度ここを訪れたら、大河ドラマもいっそう深く楽しめるに違いありません。
展示の目玉のひとつ、龍馬暗殺に使われた刀。上の短い方が、実際に使われたもの。こぼれの様子がなんとも生々しい感じです。
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