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お盆参りに欠かすことができない祈りのための法具、『念珠』
お盆参りに欠かすことができない祈りのための法具、『念珠』

ご先祖様を"お精霊(しょらい)さん"としてお迎えし、供養をして再びお見送りする京都のお盆。この時季、お墓やお寺へのお参りで念珠を手にする方も多いのではないでしょうか。

「念珠すなわち数珠は、もともとインドで生まれ、仏教の伝来とともにインドから中国へ、そして日本に伝わってきたものです。お経の数を数える法具だったことから、中国の梁の時代に数珠と呼ばれるようになったようですね。当初は108個の珠を輪につないだだけだったものが、日本の仏教の発展に伴って変化をとげ、各宗派ごとに違う形へ進化していきました」と語ってくださるのは、福永念珠舗の福永荘三さん。寛政9年の創業以来、東本願寺の門前で念珠を作り続けてきた老舗の9代目です。

実に600種類以上、各宗派の念珠が陳列された店内の奥には工房があり、菩提樹をはじめとする木の実や香木、琥珀、珊瑚、象牙、貴石、木材など、多種多様な素材を用いて一連一連の念珠が作られていきます。珠のセレクトから紐、房の組み合わせまで細やかなオーダーが可能で、場所柄、顧客にはご僧侶も多いとのこと。

「珠の成形は、今は機械でもできますけど、組み上げる仕事は手作業でなければできません。珠を通し、組み上げる組紐は、帯揚げと同じように16本の絹糸を組んで作ってあり、たとえポケットに入れてぐしゃぐしゃになっても、手で撫でてやればスッときれいな状態に戻ります。こういうところが、京都の伝統工芸の妥協のないところやね」。

珠に開けられた穴にぴったり合う紐を選び、気候や湿度などによって変わる紐の調子を見極めて力加減しながら組み上げられた念珠は、適度な張りを保ちながら、しなやかに心地よく、合掌する手になじみます。

「丸くつながった念珠に、僕ら念珠職人は人と人との結びつきを思うんです。仲の良い人もそうでない人も、一つの糸でつながることで自分の存在がある。それは、代々のご先祖様との命のつながりにも通じます。そんな風に考えると、作り手として決して手を抜けません」。

念珠を手にご先祖様との縁を思い、そっと手を合わせる。いつまでも受け継いでいきたい、美しい祈りの形です。

珠に組紐を通して輪につなぎ、房を組み上げていく工程。精緻な力加減に、熟練の技が光ります。

珠に組紐を通して輪につなぎ、房を組み上げていく工程。精緻な力加減に、熟練の技が光ります。

実に600種類にも及ぶ念珠が並ぶ店内。

実に600種類にも及ぶ念珠が並ぶ店内。

 

福永念珠舗9代目 福永 荘三さん

福永念珠舗9代目 福永 荘三さん

「長年培った伝統の技を守りながら、十二支の動物をかたどったものや京都オパール≠ニいった新素材を使ったものなど、新たな挑戦を続けています。腕輪型やブレスレット型の数珠を作る体験教室も好評です」


Information
株式会社 福永念珠舗
京都市下京区東本願寺前上珠数屋町角
TEL:075(343)0541

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