湯どうふの順正
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-SHIMOGAMO-JINJA- 勇
夏の夜に、勇ましい水しぶきを上げる下鴨神社『矢取り神事』
より近く、楽しくなった『京都市動物園』を訪ねて

身を清めた白装束の氏子が太鼓の音に鼓舞され、人形が舞う中、斎串を目指します。

緑濃く、じりじりと迫る陽光を遮り、小川のせせらぎで涼を感じさせてくれる森が京都の市中にあります。賀茂川と高野川の合流地点で、京の町人のこころを潤してきた糺(ただす)の森です。この豊かな森の水源のひとつ、糺の森が鎮守する下鴨神社の御手洗池(みたらしいけ)では、夏の夜に男性たちが矢を取り合う神事が執り行われます。

「夏越祓(なごしのはらえ)の行事のひとつです。土用の丑の日の前後一週間に行う"みたらし祭り"では参拝者が御手洗池に足をつけて穢れを祓い無病息災をお祈りするお祭りに対し、『矢取神事』は地域の氏子の皆さんにご参加いただき、納められた人形(ひとがた)を通して氏子崇敬者の厄を祓っていただくお祭りです」。そうお話いただいたのは下鴨神社の祝(はふり)、東良(ひがしら)さん。

みたらし祭りが、ひんやりとした湧き水に足を浸す"静の祭"とすれば、矢取り神事は、"動の祭"。勇壮な数十人の男が、結界を張った池の中央の矢に見立てた斎串(いぐし)をあっという間に奪い合う厄払いの神事です。その際、神職により2万枚もの人形が撒かれ、その飛び散る様は氏子が矢を取り合う水しぶきと重なり、より刹那的で印象的な光景が繰り広げられます。

「とても勇敢な氏子たちの祭事です。人形は、お参りになられた皆さんの罪や穢れを移したもの。万を超える人形が舞い散る中、恐れることなく、矢を取り合う。昔はこの矢を"祇園"に持ち込めば、数日はお勘定なしで楽しめたという話もあったそうです」。

多くの神社では、夏越祓の祭事は6月の末頃ですが、下鴨神社では旧暦で行われるため、すこし遅めです。立秋の前夜に執り行われる矢取り神事は、今年は八月六日。洛中に漂う夏の暑気が落ち着き、糺の森を涼やかな風が駆け抜ける夕暮れに、人形が空に舞うのを合図に氏子たちが一目散に斎矢に駆け出します。そのクライマックスのひとときの勇を、ぜひ目に焼き付けてください。

 

下鴨神社(賀茂御祖神社)祝 東良 勝文 さん

下鴨神社(賀茂御祖神社)祝 東良 勝文 さん

「当社の御祭神玉依媛命(たまよりひめのみこと)が御手洗池で川遊びしていた時に矢が流れ着き、持ち帰ったところ懐妊。そして上賀茂神社の御祭神をお生みになったという故事にちなんだ祭事です」。


夏の夜に、勇ましい水しぶきを上げる下鴨神社『矢取り神事』
みたらし祭り。御手洗社からの湧水の温度は、ひんやり心地よい18℃ほど。

みたらし祭り。御手洗社からの湧水の温度は、ひんやり心地よい18℃ほど。

Information
下鴨神社(賀茂御祖神社)
京都市左京区下鴨泉川町59
TEL:075(781)0010

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