通りはガラス張りされており、その奥に屋根付きの本殿をご覧いただくことができます。
盆地らしいむしっとした京の酷暑が過ぎ、虫の鳴き声が涼やかさを添える秋。しかしながら、昼は汗ばむほどの気温なのに、夜は肌寒く感じるほどの一日があったり。寒暖差で身体のバランスが崩れがちになり、健康を管理するためについ薬に頼ってしまうなんてことも…。
京都ではそんな時、”神農さん”に手を合わせるという方法があります。
正式名称は、薬祖神祠(やくそじんし)。京都駅に続く烏丸通と二条通の交差点を西へ入って通りを一つ越えると、すぐに石造りの鳥居が現れます。ご祭神には、日本の薬祖大巳貴命(おおなむちのみこと)と小彦名命(すくなひこなのみこと)に加え、中国の医薬の神様「神農」、西洋医学の父とされるギリシャの哲学者「ヒポクラテス」が名を連ねる、和・漢・洋が祀られた珍しい”薬の祠”です。
「京の昔歌に『♪一条戻り橋、二条生薬(きぐすり)屋、三条のみすや針…』とあるように、かつて二条は、薬問屋がひしめき合う通りでした。江戸幕府公認の薬種街で、多い時は百数十の店が軒を連ね、二条薬業街が元気だった頃は、地域のお祭である薬祖神祭は京都の年中行事に数えられていたほどの賑わいでした」。
そうお話いただいたのは、京のくすり祭り協会の小西会長。薬祖神祭は、”二条の神農さん”という愛称で親しまれ続け、京の中心地が丸焼けになった蛤御門の変(1864年)の年も、お祭は例年通り行われたという記録が残っています。
「医療の発展とともに、洋のヒポクラテスもお祀りし、京のまちの長寿の一端を担ってきた二条の薬祖神祠。以前よりも祭りの賑わいは小さくなっていますが、京のくすり祭り”二条の神農さん”は、ずっとずっと後世まで地域に大切な祭りであって欲しい」と小西さん。
毎年11月の第一金曜日が京の薬まつり”二条の神農さん”。今年は11月4日です。えびす神社から神主を招き、神事が厳かに執り行われます。
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「歴史と伝統ある薬祖神祭を、往年のような賑わいある祭として盛り上げるべく、一般社団法人化。学問の神さまとしても、広く知られています」。
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