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-Douki Chimaki- 粽
歴代天皇に献上し続けた菓匠「川端道喜」
歴代天皇に献上し続けた菓匠「川端道喜」

手前が水仙粽、奥が羊羹粽。もともとは、茅萱(ちがや)で巻くことから、「ちまき」。川端道喜による幅の広い笹の利用から、粽は今の体裁になりました。

京都御所の正門、建礼門の東横に通称“道喜門”と呼ばれる小さな穴門があります。この門は、室町時代から三百五十有余年、毎朝、『御朝物(おあさもの)』を代々の天皇に献じた「川端道喜」にちなみます。

その始まりは、初代道喜が奈良吉野の葛を用いた御用を賜り、京の水、洛北の香り高い笹を使用し、粽(ちまき)に仕立てたことから。風味豊かな味わいはもちろん、笹の殺菌効果と長時間の加熱により、その当時では驚くほどの保存性を実現しました。粽が笹で巻かれる今の“当たり前”は、ここに端を発します。

現在は、十六代の奥さま知嘉子さんが代表として川端道喜を守り続けています。
「御粽司として、これまで製法を変えることなく連綿と作り続けて参りました。今は主に『水仙粽』と『羊羹粽』の2種類。材料は至って単純です。水仙粽なら、吉野葛と三盆白、天然水、そして笹のみ。ひとつでも素材に問題があれば、調和は崩れてしまいます」。

笹を解けば、ふわりと薫るやわらかな香に、瑞々しく艶めく透き通った葛(くず)の輝き。青臭さが微塵も漂わない鮮やかな香は、笹の葉だけでなく、粽自体からも。 「笹が重要なんですが、刈り手の不足や、鹿の増加による食害のため、洛北の笹の値がとても高まっています…。手元に届いた笹も、粽に相応しいもので選り分けますので、すべてが使えるわけではありません。笹だけでなく、環境の変化でこれまでの素材が使えなくなると、うちの粽は作り続けることが難しくなってしまいますね」と知嘉子さん。

葛と砂糖を水でたき上げ、より分け洗いを施した笹で包み、藺草(いぐさ)できりりと巻き、さらに茹で上げる。その明快な行程には、水仙粽のごとく、余分を付加することなく数百年の歴史の潮流のなか、時間と手間を蓄積してきた清らかな風格が漂っていました。

歴代天皇に献上し続けた菓匠「川端道喜」
Information
御粽司 川端道喜
京都市左京区下鴨南野々神町2?12
TEL:075(781)8117
 

御粽司 川端道喜 代表 川端 知嘉子さん

御粽司 川端道喜 代表 川端 知嘉子さん

「初代道喜は、足利幕府の疲弊の波による、宮中財政の逼迫(ひっぱく)を拝察し、毎日さまざまな供御(くご)を献じました。その毎朝の慣わしは、東京に遷都される前日まで、ずっと続きました」。



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