境内でひときわ目を引く縁切り縁結び碑(いし)。中央の亀裂から円形の穴へと神様の力が注がれているそうです。
春は、出会いと別れが交錯する季節。祇園に静かに佇む安井金比羅宮は、“安井のこんぴらさん”と京人から親しまれてきた良縁を結ぶお宮さん。今では、全国各地からその御利益にあやかる皆さんが集まります。
本殿横の絵馬の形をした大きな石碑に、その姿を隠すほどにびっしりと貼られたおびただしい数の形代(かたしろ)。安井金比羅宮の見所、「縁切り縁結び碑(いし)」です。形代とは身代わりになるお札のことで、このこんぴらさんは全国に縁結びは数あれど、「悪い縁を切り、良縁を結ぶ」珍しいご利益があることで名高い神社です。
「縁切り祈願の由来は、主祭神である崇徳(すとく)天皇に深い関わりがあります」と語るのは、宮司の鳥居肇さん。配流により、寵愛していた阿波内侍(あわのないし)と離ればなれになった崇徳天皇が、讃岐の金刀比羅宮で一切の欲を断ち切って参籠されたことから、あらゆる断ち物の祈願所として信仰されてきました。また、「人々が同じような悲しい境遇にならないよう祈願もされ、幸せな男女を妨げる悪縁も絶ち切ってくれる御利益も。良縁にある方がお参りされても縁が切れることはありません。お二人がより強く結ばれる御利益をいただけますのでご安心を」とのこと。そのお話し通り、東山からやわらかく吹き下ろす風に、幸せを願う形代が数多くなびいています。
碑ではまず、形代に願い事を書き、それを持って中央の穴を表からくぐって悪縁を断つ。続いて裏からもう一度、良縁を結ぶよう思いを托して…。
はじまりの春に、絵馬を模した碑で悪縁を切って良縁を願う。午年の今こそ、安井のこんぴらさんのあらたかなご利益が期待できるのではないでしょうか。
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「縁切り祈願は、男女の縁はもちろん、病気やお酒、煙草、賭事など、人を悩ませるあらゆる悪縁が対象。気持ちを新たにして前進したいという方にも、お力になれるかもしれません」。
青地に藤の花をあしらった「縁切り」と、赤地に山吹の花の「縁結び」がセットになった箱入りのお守り。
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