まことに春の夕暮れに
   花の盛りもまたひとしお
           『楼門五三桐』

  見渡すかぎり桜一色に染まる南禅寺界隈は、さすがの石川五右衛門も思わずうなった価万両の景色です。賑やかな昼間の花見も結構ですが、この春は、艶っぽく夜桜をしっとりと楽しまれてはいかがでしょう。薄紅の花びらが、はらはらと風に舞う風情を、八寸に、あるいは焼き物にと移してみました。心に残る京の夜を存分にお楽しみください。

*献立は旬に合わせ、月に2度変わります。
 
【炊き合せ】
海の幸が彩る陽春の炊き合せには、蟹の餡かけ、鯛の子を。ふっくらとした丸大根にしみた深い味わいが、心を温め、ほのぼのとした気分にひたれます。


【八寸】
淡やかな春の名残り雪を思わせる「鱈の白子吉野蒸し」は、豪勢なキャビアを添えて。桜香るお皿には、春の野に心誘う菜種、うど、ワラビを。
 
【焼き物】
京の春の味覚といえば、やわらかななかに歯ざわりを楽しませてくれる筍。香ばしい焼き筍に仕立て、筍皮を添えました。色美しい伏見唐辛子、サーモンとともに。