清水寺順正調理場の大屋巧です。入社してはや八年、どんな持ち場も任せて貰えるようにと日々研鑚を積んでいます。
 ところで、『清水の舞台から飛び降りる』という言い回しをご存知ですか。この舞台とは、もちろん清水寺本堂の舞台で高さは13メートルもあります。発願した時は高い所から飛び降りてみる。成就できる場合は無傷で、だめでも極楽往生できるとの観音信仰が江戸時代にあり、一発逆転の願を掛けて飛び降りたのです。清水寺はお誂え向き、御本尊は観音さんで、舞台も目の前にあります。
 実は、私も清水の舞台から飛び降りたつもり、大穴狙い2000円の馬券を買ったことがあります。それがなんと26万円。しかし、以来わたしは観音様に見放されたようです。
 さて、気を取り直して『豆腐けんちん』の作り方をご紹介します。野菜の切れ端と豆腐で美味しい一品ができあがります。

清水寺順正
大屋 巧さん
 

木綿ごし豆腐・・・・・・2丁
野菜の切れ端・・・・・・適量
(人参のへた、生姜の切れ端、椎茸の石突など)
吸い物より濃い味の出汁・適量
〜煮汁〜
出汁・・・・・・・・400CC
淡口醤油・・・・50CC
砂糖・・・・・・・・50g
塩・・・・・・・・・・小サジ1
サラダ油・・・・・・・・・・少々
胡麻油・・・・・・・・・・・少々
木の芽など・・・・・・・・少々


(1)豆腐はふきんで包み重石をかけ、水を切る。
(2)野菜の切れ端を千切りにする。
(3)吸い物より濃い味の出汁に2を入れ、一煮立させ火を切る。
(4)フライパンにサラダ油を引き、1を手で崩しながら入れ、水気が飛ぶまでよく炒める。
(5)4に3の野菜と煮汁を加え、煮汁が3分の1程になるまでに煎り付ける。
(6)最後にフライパンの縁から胡麻油を2、3滴垂らし香りよく仕上げる。
(7)器に盛り付け、いろどりに木の芽などを添える。

木綿ごし豆腐は厚ければ2枚に切り、もとの堅さにもよりますが30分くらいは水切りするとよいでしょう。
牛蒡はやはり加えて欲しい野菜です。きくらげや銀杏も美味しいですね。
江戸の豆腐百珍では『豆腐は小指くらいに切り、油でサッと揚げる』。野菜と煎り付けた後は『湯葉で包み、油で揚げ、等分の醤油と酢に絞り生姜を加えたケンチン酢で食す』と記されています。

 

清水寺順正
京都市東山区清水寺門前 
TEL 075(541)7111