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『和菓子のとらや』といえば、東京の老舗の和菓子屋さんを思い描かれる方もいらっしゃるでしょう。でもここは京都のメインストリート烏丸通りを挟み京都御所の真向かい。京都では古くから御所御用菓子屋としてもその名が知られています。「虎屋発祥はここ京都。明治の東京遷都に伴い、東京へも進出しました。ですからどちらも正解です」と虎屋取締役の高橋さんが穏やかな口調で、その秘密を教えてくださいました。虎屋が御所の御用を賜ったのは、後陽成天皇の御在位(一五八六〜一六一一)からとされています。その長い歴史を誇る虎屋の家宝ともいえるのが、和菓子の姿を写した絵図帳。鮮明な色彩で描かれており、その多くが今も当時の形そのままに作られています。毎年数種類ずつ新しい図案が“未来の家宝”として描き加えられていますが、そのひとつがお正月の宮中歌会始にちなんで作られる御題菓子。「新年の歌会始のお題に添ったデザインを社内募集して、最優秀作を“虎屋の新作”としています。二〇〇三年は五〇一点の応募の中から、三つを商品化しました。実は女性販売員の斬新なアイデアがベースなんですよ」。と、日々歴史と伝統を織りなす虎屋。最近では東京の新名所六本木ヒルズに、“とらやが作るもうひとつのお菓子”を提案する『TORAYA CAF´E』をオープン。「虎屋の伝統は革新の連続で築いてきたんです」との高橋さんの自信あふれる言葉に、和菓子のさらなる進化が期待できそうです。
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虎屋一条店
1600年頃にはすでにこの場所で御所の御用を始めていたという。 |
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「御菓子絵図帳」 |
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