私は十八才の時、郷里を後に縁あって順正に勤めましたが、初めは鍋洗いと怒鳴られるだけの日々でした。その後、色々な料理店で修行を積み、現在は小所帯ながら円山かがり火の調理長を務めています。
 若い頃にやらせてもらえるのは残り物でのまかない料理だけです。私が二十才頃でしょうか、余った焼豆腐で炊込み御飯を作り、親方にずいぶん誉めてもらいました。今回は、私の想い出話にお付き合い願い、この『焼豆腐炊込み御飯』を紹介させていただきます。
(円山かがり火 調理長 高橋正人さん 談)


   
焼豆腐・・・・・・・・2丁
油揚げ・・・・・・・・1枚
シメジ・・・・・・・・・2パック
人参・・・・・・・・・・中 1本
枝豆・・・・・・・・・・100g
米・・・・・・・・・・・・3合
梅干・・・・・・・・・・適量
  A 出汁・・・・・・・・5カップ
醤油・・・・・・・・大さじ4
味醂・・・・・・・・小さじ1

 
(1) 1cm角に切った焼豆腐を、熱湯で湯通しする。
(2) 細かく切った油揚げを、熱湯で油抜きする。千切りした人参とほぐしたシメジを、沸騰した湯に入れ2〜3分湯がいた後、水にさらしザルにあげておく。
(3) 枝豆を塩茹する。
(4) 鍋にAをとり一煮立ちさせ、弱火にして1を入れ4分ほど経ったところで、2を加え更に3分煮る。そのまま冷ましザルにあげる。
(5) 洗い上げた米に4の具を入れ、4の煮汁3.3カップを加え炊きあげる。
(6) 炊きあがり直後、枝豆を加え混ぜ合わせ蒸らす。
(7) )茶碗に盛りつけたあと、梅干をのせる。

 
具沢山の炊込み御飯は美味しいものです。焼豆腐と油揚げが大きすぎても気にせず使い切りましょう。1、2の作業を手抜きするとアクが出ます。5で4の煮汁が煮え詰まっている場合は、出汁を加え天ツユくらいの味に調える必要があります。醤油は淡口の方が色よく仕上がります。あたりまえの話ですが、米は焚く20分前には洗い上げておきます。枝豆は熱湯から5、6分茹でるのが目安、薄皮もむくほうが良いでしょう。